NOROSHI FARM JOURNAL 2024 11

いつも、のろしファームをご愛顧いただきありがとうございます。
 11月になり晩秋、昼夜の寒暖差が大きくなってきました。里山も紅葉が深まりつつあります。流行り風邪も出てくる季節ですので、皆様お身体どうぞご自愛ください。
 さて、のろしファームでは、8月から9月にかけて、ふるさとワーキングホリデイという事業を活用して大学生のインターン生を受け入れたり、つい先日も農村活性化を研究している学生グループと交流する機会があったりと大学生と関わることが多い年でした。私が農業や農村に興味を持ち始めたのも大学の時で、遠い昔になりつつある(笑)学生時代を思い出すきっかけにもなりました。今回は、私が農業を志すきっかけの一つになった学生時代のエピソードを紹介します。
 大学は東京で一人暮らしをしていたのですが、ほとんど自炊しないでレトルト中心の食生活でした。とにかく、食べ物より海外にいくための資金や写真部の活動にお金をつかっていたので常にギリギリの生活で…。母親が定期的に送ってくれるお米が私の生命線でどれだけ食べてもタダ!母親に連絡するのはお米と仕送りの催促だったけな。(笑)月末になると「大盛どんぶりに納豆たまごかけご飯」。これになるといよいよ私のお財布事情は末期のサイン。でも今思えば、栄養学的にもタンパク質、ビタミン、ミネラルもとれてコスパ最高でしたね。
 そんな中、油断してお米を切らしたことあり、どうしても二、三日どうにかしなくてはいけなくて、はじめてスーパーでお米を買うことになりました。売り場にいっても全く選び方がわからず、数分にらめっこした後に2キロサイズの一番安いものを購入しました。当時の私はお米に関しては本当に無知で「コシヒカリ」という単語がかろうじてわかる程度。自宅に帰宅してさっそく炊いてみたのですが、炊いている最中からいつもと匂いが違うことに気が付きました。いよいよ炊き上がり「大盛どんぶり納豆卵かけご飯」を食すのですが、今まで経験したことのない米の味に絶句!恐らく二番米を選別したブレンド米だったのでしょう。納豆卵かけご飯は、米がうまいから成り立つ組み合わせだったことにも気が付きました。そして、もう一つわかったことがあって、いつも食べていたお米は、叔父が有機農法でつくる無農薬の800円/キロ近くする最高級のお米でした。実家も兼業農家で父も米をつくっていたのですが、まさか父の米ではなく叔父の米をたべていたとは。(笑)このとき、なんの飾りっけもない真っ白のお米ひとつで人の心を動かす力があることに東京のワンルームでひとり興奮したことを思い出します。
 叔父は残念ながら数年前に亡くなったのですが、有機農法のパイオニアで有機の米作りに人生をかけた人です。末期ガンで闘病しながらも米づくりに励み、最期も病院ではなく田んぼで息絶えました。私がたまにつかう「一粒の責任」という格言じみた言葉は、実は叔父が大切にしていた言葉で、就農した当初、私に口酸っぱく言っていたものです。あしからず。  稗苗良太

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