新年あけましておめでとうございます
今年ものろしファームをどうぞよろしくお願いいたします
新年一発目は面白い人(本)を紹介します。稲垣 栄洋(いながき ひでひろ)植物学者で「面白くて眠れなくなる植物学」などベストセラー多数。雑草を単に植物学の視点で語るに収まらず、経済学や社会学、人間の行動心理にも結び付けて考える大変面白い学者さんです。以下、いくつかの対談や著書から要約、抜粋。
雑草は強い植物ではありません。ほかの植物との競争に弱い。植物は基本的に光合成をするため太陽の光を求めて上へ上へと背丈を高くする必要があります。他の植物や大木が覆い茂るような深い森では雑草は生きていくことが出来ません。森は自然界では環境が非常に安定した世界です。森では少ない日光でも光合成ができるシダ植物などが茂り雑草は競争に負けてしまします。
しかし、雑草には得意なことがあります。「予測不能な変化を乗り越える」ことです。地球の気候が安定していた大昔(恐竜時代)、植物は大きいものが強い時代でした。でも、地殻変動や気候変動するようになってからは「変化をする」時代になりました。さらに人類が現れると環境を大きく変化させるようになりました。この環境の変化が当たり前になっても適応、進化してきたのが雑草です。環境は変えることはできません。変えられないものは受け入れる、変えられるものを変える。つまり、環境に適応して自分を変える」ということです。
変化に対応するために最も大切なことはなんでしょうか。それは「変わらないこと」だと稲垣先生は言います。例えば、タンポポは皆さんにとってポピュラーな植物だと思います。タンポポはどんなところに生えているでしょうか。道端やアスファルトの隙間から生えているのをよく見かけませんか。植物からすると非常に過酷な環境です。そんな中で黄色い花を咲かせ白い綿帽子(種子)をつけ子孫を繋いでます。「雑草魂」という言葉があるようにとてもたくましいのですが実は少し意味が違います。雑草は「踏まれても踏まれても立ち上がる」そんなイメージを「雑草魂」といいますが、雑草は踏まれたらむやみやたらに立ち上がらないそうです。それは、植物は種子(子孫)を残すことが一番で、踏まれて立ち上がる行為は無駄にエネルギーを消費すると認識するからです。だから、タンポポは、踏まれながら花を咲かせ種をつけます。踏まれても、環境の変化に動じない、つまり「変わらない」大切さに繋がってきます。しかも、タンポポは他の植物との競争を生き抜くために自らこの過酷な環境を選んでいる大変したたかな植物だそうです。
変化に対して自分がどう変わるかということを、「変わらないこと」や「自分にとっての優先順位」に立って考える逆説的な視点が新鮮で感銘を受けました。
私たちにとって、「変わらないもの」「変えてはいけないもの」は何でしょうか。
「変わらない雑草魂」2025年のテーマになりそうな予感です。
稗苗良太
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